音の判定基準がシビアすぎる『クワイエット・プレイス』
音を立てたら、即死。
どうも、ヤマモトです。
今回は"2018年No.1ホラー"との呼び声高い、音を立てたら死ぬ系ムービー『クワイエット・プレイス(原題:A Quiet Place)』の感想を綴ります。
【あらすじ】
音に反応し人間を襲う“何か”によって荒廃した世界で、生き残った1組の家族がいた。
その“何か”は、呼吸の音さえ逃さない。誰かが一瞬でも音を立てると、即死する。
手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らすエヴリン&リーの夫婦と子供たちだが、なんとエヴリンは出産を目前に控えているのであった。
果たして彼らは、無事最後まで沈黙を貫けるのか――?
【実はそこまで紹介していない】
気づけば9月も終わりに差し掛かり、気候も朝晩と肌寒くなって参りましたが、皆さん、体調などは崩されてはおりませんでしょうか。正直、あまり興味は無いですけど。
恐らく9月の更新はこれが最後になるかと思いますが、皆さんからおすすめしていただいた映画で紹介しきれていないものが多数あるので、小出し小出しで今後ご紹介できればと思います。もはや4作品しか紹介してない企画倒れっぷりですが。
ただ、中にはややマニアックというか、何ヶ所かレンタルDVD屋に行っても無かった映画があるので、誰かアキ・カウリスマキ監督の『浮き雲』もしくは『コントラクト・キラー』を見つけた方いましたら、僕にご一報いただけますと幸いです。よろしくお願いします。
では、本題に入ります。
【それでも子供は欲しいもの】
年々、死の条件が厳しくなってきているホラー映画界。
息をしたら元軍人の盲目ジジイに追いかけ回されるし
ドアを二回ノックしたらババアに呪われる
セックスしたら死ぬまで何かに追いかけ回されて
寝たら鬼婆がやってくる。
そんなハードモードな設定が溢れる最近のホラー映画界に"音を立てたら即死"という世知辛すぎる世界線でサバイヴする家族の物語が爆誕。
"音を立てたら即死"と聞くと真っ先にスプラッターホラーの『ディセント(原題:The Descent)』を思い浮かべますが、本作はそれよりも音の判定がシビアになっているため、常に手話で会話し、裸足で生活しているサイレントっぷり。
ちなみに『ディセント』は不慮の事故により未亡人となってしまった主人公のために友人達が何故か洞窟探検を企画し、そこにいた盲目の地底人にハチャメチャに食い殺されていくという心温まるハートフルコメディ。こちらも良作なのでぜひご家族揃って観て欲しい。
話を『クワイエット・プレイス』に戻すと、実は聾者の長女・リーガン役であるミリセント・シモンズは実際に聴覚障碍を持っている女優で、現場でアメリカ手話のレクチャーなどにも尽力していたそう。
そんな彼女の名演が本作の肝と言っても過言ではないほど、非常に際立っていて、耳が聞こえない人の役を耳が聞こえない人が演じることで演技の説得力が段違いに増しているのは言うまでもありませんでした。(※監督兼リー役のジョン・クラシンスキーは耳が聞こえる役者を起用することは考えていなかったと語っている)
物語序盤で音の鳴るおもちゃを両親に黙って末っ子に渡してしまったがために、宣伝文句よろしく化け物に末っ子が瞬殺されてしまい、自責の念に駆られ、次第に父親とも心の距離を置いてしまうという難しい役を見事にこなしています。
また、彼女にカメラが寄ると周りの生活音などもカットされ、完全にサイレント状態になるのも、観客が演者に没入できる演出として良い効果をもたらしていました。
ちなみにこのリーガンの劇中での行動に対し、同じく本作をたまたま鑑賞していた後輩は「長女のクズっぷりにイライラした」と評していたので、辛辣すぎて劇中に出てくる化け物より怖いなと思いました。
以前ご紹介した『ボーダーライン』でも主演を務めていたエミリー・ブラントについては、相変わらずの死んだ目というかミステリアスな眼差しでの演技が光っておりました。
「化け物が迫ってくる中、破水して出産寸前、しかも怪我して血だらけ」という緊迫感が全部盛りされたシーンで抜群の母親っぷりを見せつけており、女性だけど"漢(おとこ)"を感じました。(ちなみにエミリー・ブラントは実際にクラシンスキーの妻)
もはや"音を出したら即死"のリスキーすぎる状況で子作りはチャレンジャーすぎるだろと少し思ってしまいましたが、末っ子を失った悲しみや、独身貴族の僕にはわからない領域があるのでしょう。
ジャンルは違えどプーと同じように家族愛を感じられる感動作品の一面もあったので、心が荒んだ僕の読者様にはぜひ観て欲しい映画です。
fin.
【総合評価】
★★★☆☆
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