刺すような毒気が皆無の草食系男子が語る『蘇える金狼』
気をつけろよ、刺すような毒気が無けりゃ、男稼業もおしまいさ
どうも、ヤマモトです。
今回はある意味ホラー映画にも引けを取らない松田優作の恐ろしさが存分に楽しめる『蘇える金狼』の感想を綴ります。
【あらすじ】
早朝、共立銀行から運搬予定だった現金1億円が一人の男によって強奪される。その男は東和油脂の経理部に所属する朝倉哲也（松田優作）。昼は真面目なサラリーマンを装っているが、本当の姿はボクシング由来の強い身体能力と狡猾な頭脳で会社の乗っ取りを企む一匹狼だった。会社の内部事情を知る為に経理部長・小泉の愛人、永井京子（風吹ジュン）をドラッグとセックスで籠絡する。一方、強奪した1億円の通し番号が控えられていることを知った朝倉は現金を一旦、ヘロインに換えようと市会議員である磯川に接触し、最終的に取引を成功させる。思わぬ展開をも利用しながら、着々と乗っ取りの計画を進める朝倉だったが...
【全オスが観るべき映画ランキング第1位】
今回おすすめされたのは大藪春彦原作で松田優作が主演を務める『蘇える金狼』。
松田優作といえば、皆さんもご存知『太陽にほえろ』の殉職シーンでお馴染みの「なんじゃこりゃー？！」だと思いますが、もはやそれしか知らないぐらい松田優作についての知識が僕には皆無です。後は、松田龍平と松田翔太のお父さんだってことぐらいでしょうか。
松田優作が出演している作品を初めてまともに鑑賞したのが、本作なのですが、僕の中でほぼ死んでいた「雄（おす）」が完全にくすぐられ、『ビーバップハイスクール』や『クローズ』を見終わった後のような無敵感に包まれました。つまりは最高のハードボイルド作品だということ。
刺すような毒気どころかトランス脂肪酸しか溜まっていない僕ですが、この映画の松田優作から男稼業とは何たるかを今一度再考させられました。
印象的なシーンを挙げたらキリがないのですが、僕が特に松田優作の男稼業を感じた名シーンを２つだけご紹介させていただきます。
▶妻子持ちのおっさんの命乞いを冷静に却下
通し番号が控えられている1億円を一旦ヘロインに換えるために単身で怪しいバーに乗り込むんですけど、そこで出会った海神組の幹部（今井健二）を返り討ちにして激詰めするんですよ。「ヤクはどこにあるのか」と。
それで全部喋った後に泣きながらおっさんが命乞いするんですけど、それを朝倉が「ダメ、ダメ。」と食い気味に一蹴するんです。これが下手なホラー映画よりも怖い。助かる余地を全く残さないから絶望感が凄いし、さすがに塩対応すぎて笑ってしまう。
ちなみにその後、妻子がいるか聞かれて「いる！いっぱいいるよー！」とこれまた食い気味におっさんが返すのですが、「（お前が）死んだ方が幸せになれるよ」と謎理論すぎる言葉をかけられて引き金を轢かれます。「そんなことねぇよー！」と叫びながら。
無慈悲すぎて笑うしこればかりはおっさんが正しいかと思います。
▶シャブ漬けにした風吹ジュンと立ちバックしながら朝食
よく男性は食欲が満たされると性欲が抑えられ、性欲が満たされると食欲が抑えられると言われますが、男稼業全開の金狼にはそんなこと関係ありません。サンドウィッチを頬張りながら、立ちバックで女性を突き狂うなんて日常茶飯事なのです。
相容れないはずの二つの欲を同時に処理するこの衝撃的なシーンは当時の日本に一大センセーショナルを巻き起こし、巷のアベックの間で「サンドウィッチ立ちバック」が大流行したそうで、一時期多くのホテルでルームサービスの提供を中止したそうです。大嘘ですけど。
ちなみにお察しのとおり、この映画では風吹ジュンの風吹ジュンが風吹ジュンする映画でもあるので、恐らく殿方諸君は鑑賞途中に辛抱たまらなくなるかと思いますが、溜まった毒気を出すのは鑑賞後にしましょう。
さて、そんな感じで本作の象徴と言ってもいい（かどうかはわからん）二つのシーンをご紹介させていただきましたが、この他にも会社に脅しをかけるシーンやラストの松田優作渾身の顔芸など、見所がたくさんありますので、気になった方はぜひご鑑賞ください。
じゃなくて
fin.
【総合評価】
★★★☆☆
Twitterやってます。不定期に生産性の無いことを呟きます。
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